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漢字は得意だけど…国語の読解ってどうするの?

在日中国人の中学生にとって、日本語の国語科目は「漢字」に関しては有利に感じられることが多いでしょう。中国語の背景があるため、漢字の読み書きは他の外国籍の生徒よりもスムーズにできることが少なくありません。しかし、国語の読解問題は漢字が読めるだけでは得点できないという現実に直面することもあるはずです。


「登場人物の気持ちが分からない」「なぜその答えになるのかが曖昧」など、読解問題独特の難しさがあります。ここでは、国語の読解力を育てるための具体的なステップを詳しく解説します。

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1. 「漢字が読める=意味がわかる」ではない

まず押さえておきたいのは、「漢字が読める」ことと「文章の意味を理解できる」ことは別物だという点です。
日本語の文章には、中国語と似ている表現も多いですが、同じ漢字でも日本独自の意味や使い方をすることがあります。

たとえば「手を貸す」という言葉は、中国語の字面通りに考えると「手を貸与する」や「手を渡す」と解釈してしまうかもしれません。しかし実際の意味は「助ける」「協力する」という比喩的な使い方です。

また、文章全体の中で一つの漢字や語句がどのように使われているのかを読み取らなければ、正しい解答にはたどり着けません。国語の読解問題では、文脈を読む力が求められるのです。

対策のポイント
✅ 慣用句・ことわざ・四字熟語を「日本語の意味」と一緒に覚える。
✅ 単語だけでなく、例文を使って「どういう場面で使うか」を確認する。
✅ 日本語ならではの比喩表現(例:「心が軽くなる」=安心する)に意識的に触れる。

2. 「登場人物の気持ち」をつかむ

中国語の文章に比べて、日本語の文章は登場人物の心の動きや感情の微妙な変化を丁寧に描くことが多い特徴があります。小説や物語文の問題では、人物の気持ちや考えを推測する力が求められます。
しかし、文章中には「〇〇さんは悲しかった」とストレートに書かれていないことも多く、状況や行動、会話から気持ちを読み取ることが必要です。

例えば、「彼は笑いながら黙って首を横に振った」という一文からは、
「無理に笑っているが、本心では嫌がっている」という感情を推測できます。
こうした推測力は、ただ読んでいるだけではなかなか身につかないため、日々の練習が重要です。

登場人物の気持ちをつかむ練習法
✅ 読んだ文章を1文ごとに「誰が」「どんな気持ちか」をノートにまとめる。
✅ 感情を表す言葉(例:うれしい、驚く、困る、ためらうなど)を見つけて線を引き、気持ちの変化の流れを追う。
✅ ドラマや漫画など、日本語のストーリー作品に触れ、「登場人物の気持ち」をセリフや表情から想像する習慣をつける。

3. 「設問を読む力」をつける

国語のテストでよくある失敗は、「文章を理解したのに設問の意図を間違えてしまう」ことです。
設問は一見簡単そうに見えても、実際にはどのような答え方を求めているかを正確に把握する力が必要です。

たとえば「なぜこのとき主人公はこう思ったのか」という設問は、「理由を具体的に、本文中の言葉を使って答える」ことが求められます。
また、中国語に直訳してしまうと意味があいまいになる設問も多いため、日本語の設問のパターンに慣れることが大切です。

対策のポイント
✅ 「なぜ?」と問われたら、必ず「理由」を本文から探す。
✅ 「どのように?」は「具体的な様子や方法」を答える。
✅ 「~はなぜ大切ですか?」は、筆者の意見や主張を探す。
✅ 問題集を使い、設問文だけを集めて「この質問はどんな答え方を求めるか」を分析してみる。

4. 「語彙力」を増やす

語彙力は読解力の基礎です。漢字が読めても、単語の意味が分からなければ文章の意図が理解できません。特に、抽象的な語(例:責任、価値観、象徴、普遍的など)は日常会話であまり使われないため、学習を意識的に進める必要があります。

語彙力を増やす学習法
✅ 1日に3~5語を決めて、例文とセットで覚える。
✅ 新しい語をノートに「日本語→中国語」で書くだけでなく、自分で日本語の例文を作る
✅ ニュース記事や短いエッセイを読み、「知らない言葉は調べてまとめる」習慣をつける。

語彙力を増やすと、文章の理解がスムーズになり、設問に対する答え方の幅も広がります。

5. 音読と要約で読解力を鍛える

読解力を伸ばすうえで効果的なのが、音読と要約です。
音読すると、文章のリズムや文の区切りが自然と分かり、文意をつかみやすくなります。また、声に出すことで記憶にも残りやすく、内容理解が深まります。

さらに、読んだ後に「この話は何について書かれているか?」を1~2文で要約する練習は非常に有効です。要約は、重要な情報を取捨選択し、文章全体の骨組みを把握する力を養います。

具体的な練習例
✅ 1日1本の短い文章(400字程度)を音読し、1分以内で要約する。
✅ 要約後、本文に戻り「自分の要約と本文の主旨が一致しているか」を確認する。

まとめ

在日中国人の中学生にとって、漢字は大きな武器になります。しかし、国語の読解問題は「漢字の知識だけでは解けない」という壁があります。
大切なのは、日本語ならではの表現や文脈を理解し、感情や筆者の意図を読み取る力を磨くことです。

国語の読解力を育てるステップ
✅ 比喩や慣用句の意味を学ぶ
✅ 登場人物の気持ちや変化を読み取る
✅ 設問パターンと語彙力を強化する
✅ 音読と要約で文章全体の理解を深める

これらを意識的に積み重ねることで、読解力は必ず向上します。

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